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まえがき

世の中で起きている、またはこれから起きるかもしれない現象の本質を探ろうとするのが科学(サイエンス)です. 今話題の環境問題,バイオ,生命情報など,21世紀に発展するだろうと思われる学問も,すべてサイエンスです.これらの現象の本質の探り方でここ数十年の間に目覚しく発展してきているのが、現象の定式化とよばれるものです。

ここ2,3百年の間に、多くの現象が定式化されてきましたが、ここ数十年の間のコンピュータの発達により、複雑な式を解く、解を近似することなどが可能になり、今まで分からなかったことも少しずつ解明してきました.

では、定式化を行うには何が必要なのでしょうか。古典的な物理現象の場合,まず、物体の時間による変化や位置による変化と、基本となる法則が必要となります. ここで,物体の時間による変化とは、物体の速度、つまり微分が必要になります。基本となる法則とは、例えば、ニュートンの第2法則、別名、運動方程式などです. これらを用いて作った式が本当に現象を正しく表しているのかを知るために、その現象を再現するような実験が必要だったり、規模が大きくて再現ができないようなものは、コンピュータでのシミュレーションを行ったりすることになります.

コンピュータを用いてシミュレーションを行うためには、定式化された式から解を近似するいろいろなテクニックを学ばなければなりません.さらに、コンピュータが読めるようなプログラムを書く方法も学ばなければならなりません.

これらのことを学ぶには、しっかりとした数学の基礎を作っておくのが結局のところ一番の早道なのです.その理由は,定式化された式は、基本的に微分や偏微分を持って表されているし、解を近似するテクニックには、Taylorの定理、中間値の定理など微積分学で学ぶ内容で理解できるものがほとんどなのです.

このテキストは,0章を除いて60分の講義で1節が終わるように構成されていて,全部で54節あります.そのうち,微積分学ではちょっと高等すぎるかなと思われるところには*印をつけました.

最後に本書が微分積分学への入門書としての役割を果たし,各専門分野での勉学の架け橋となることを願います.

2004年3月

著者