ここではドイツの数学者 G.F.B. Riemann (1826-1917) によって示されたRiemann積分について学んでいきます.
は閉区間
で定義されているとします.この区間
を次のような点
で
個の小区間に分割します.
で表わし,
のうちで最も大きい値を
で表わします.いま,それぞれの小区間
のなかに任意の点
をとり,Riemann和(Riemann sum) とよばれる次の和を考えます.
が存在するならば,この
を
の 定積分(definite integral) といい,
は
で積分可能(integrable) であるといいます.また,この
を次のように表わします.
つまり関数
が
で積分可能であるということは,分割の仕方および点
のとり方に関係なく一通りに定まるということです.これより,区分求積法とよばれ,次のようにして積分を求める方法があります.
とすると,
で積分可能になるのでしょうか.次の定理はそんな疑問に答えてくれます.
が
で連続ならば,
で積分可能である.
今後,特に断らない限りこの章にでてくる
などの関数は,考えている区間で連続であるとします.
定積分の定義より,ただちに次の公式が得られます.
は区間
で連続であるとすると,
証明
(1)
の場合.
の任意の分割を
を
内の任意の点としてRiemann和を考えると,
とすると,定理3.7より,
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微分積分学の基本定理
関数
が
で連続であるとき,
内の任意の点
に対して定積分
を考えると,これは
を定義域にもつ関数になります.この関数について,次の定理が成り立ちます.
が
で連続であれば,
は
について微分可能であって,
証明
とおくと,
は
の導関数を求めることになるので,
を考えます.まず,
のとき,
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を
における
の最大値,
を
における
の最小値とすると(なぜ最大値,最小値が存在するとわかる?),
で
でわると,
仮定より,
は
で連続なので,
のとき
は微分可能であり,
となる.
この定理より,
は
の原始関数となります.よって,連続な関数は必ず原始関数をもっていることがわかり,その原始関数は定積分で与えられます.
が連続のとき
解
まず,
とおくと
.よって
で連続な関数
の
つの原始関数を
とすると
証明
定理3.7より,
も
の原始関数です.よって,定理3.1より
定数
.
ここで
だから,
.よって,
.
このとき
となるから,
とすると,
ここで,
は
または
と略記されます.
この定理より,定積分の計算は被積分関数の不定積分を求め,積分範囲の端点を代入しその差を求めればよいことがわかります.
解
を求めよう.
,
,
のとき,次の問いに答えよう.
が連続であるとき,
を求めよう.
が連続であるとき,
を求めよう.