の導関数
が微分可能ならば,その導関数
が考えられます.これを の 第2次導関数(2nd derivative) といい,
などの記号で表わします.この第2次導関数が微分可能ならば,さらに,第3次導関数を考えることができます.このようにして, を次々に 回微分することにより第n次導関数(nth derivative)が定義されます.第n次導関数
が存在するとき, は n回微分可能(n times differentiable) であるといいます.さらに,
が連続のとき, 級であるといいます.また,すべての自然数 について
が存在するとき,無限回微分可能(infinitely many times differentiable)あるいは
級であるといいます.
例題 2..18
次の関数の第2次導関数を求めよ.
解答 物体を地表面の近くで自然落下させ,空気抵抗がほとんどないとすると,時刻における物体の位置はGalileoの公式より,
で与えられます.
より,は時刻の時の物体の高さを表します.これを初期位置(initial position)といいます.この関数を微分すると,
となります.ここで,
より,は時刻の時の物体の速度を表します.これを初速度(initial velocity)といいます.第2次導関数を求めると,
となります.ここで,
より,は時刻の時の物体の加速度を表します.ここでの負の符号は方向を表しています.定数を重力加速度定数(gravitational constant)といいます.
第n次導関数に関して次の定理が成り立ちます.
定理 2..6
が 級のとき,次の公式が成り立つ.
(c : 定数)
上の定理の(3)は Leibnizの定理(Leibniz theorem) といい,
は
を表わします(例題1.6参照).
証明
(3)の証明
よりLeibnizの定理は のときに成り立ちます.次に のときに成り立つと仮定し, のときを考えましょう.
よって,帰納法より
(1),(2),(4)の証明は各自に任せます.
例題 2..19
次の関数の第n次導関数を求めてみましょう.
(1)
(2)
解
(1)
より
が帰納法で示せます.
(2) とおくと,
定数.したがって,
例題 2..20
の第n次導関数を求めてみましょう.
解
まず,
と分解し,
と
の第n次導関数を計算するのがよい.
より,
となることが帰納法により示せる.次に,
を考える.とおくと,
定数より,
したがって,
例題 2..21
の第n次導関数を求めてみましょう.
解
とおくと,
したがって,Leibnizの定理より,
確認問題
- 1.
- 物体の運動が次の式で表されるとき,初期値での位置,速度,加速度と速さを求めよう.
(a)
(b)
(c)
- 2.
- 次の関数の第2次導関数を求めよう.
(a)
(b)
(c)
演習問題
- 1.
- 次の公式が成り立つことを示そう.
(a)
(b)
(c)
- 2.
- 次の関数の第次導関数を求めよう.
(a)
(b)
(c)