微分公式を学んだだけでも,かなりの関数の導関数を求めることができるようになりました.しかし, のような関数の導関数を求めるとき,積の微分法を用いて,微分していたら大変面倒です.そこで一工夫をしてみましょう.まず, を分解すると は と の合成関数でできていることがわかります.そこで の微分 と の微分 を求めると,
証明 とすると,
ここで, のとき, と に注意する. のとき, とおくと, のとき, となり,
つぎに, とすると,式(2.1)より となるので,この場合は と定義する.この結果,式(2.2)は でも でも成り立つ. 式(2.2)を で割り, とすると,
解 まず, を分解すると と となります.よって
解 まず,両辺を 乗すると
のように の逆関数の導関数を求める必要もでてきます.そんなとき,もとの関数 の導関数を使えるような気がします.実際,逆関数の導関数を求めるときには,次の微分法を用います.
証明 とおくと
解 まず, とは, で の主値が , のことでした.ここで の導関数なら知っているので, の両辺を について微分すると,
解 まず のときを考えてみましょう. のとき,
次に, のとき, .そこで とおくと, となり,合成関数の微分法より
対数微分法
関数が複雑な形で与えられているとき,微分を行う前に少し簡単な形に直しておきたいことがあります.そんなときに用いると便利なものに対数微分法とよばれるものがあります.
解 まず,両辺に対数をとると,
このように両辺の対数をとって微分する方法を 対数微分法(logarithmic differentiation) といいます.
の が整数のときの導関数は,例題2.1 で求めました.しかし, の が実数のときの導関数は例題2.1 で用いた方法では求められません(なぜでしょう?).しかしもう大丈夫です.なぜなら私たちには対数微分法があるからです.
解 両辺の対数をとると.
ここまでの例題で求めた導関数は微分計算の基礎となるものです.次の例題の後にまとめておきますので,活用して下さい.
単位円上の点 を と表わし を時間と考えれば は時刻 における物体の位置と考えられます.このときの のことを 媒介変数(parameter) といいます.このように媒介変数を用いて表わされた関数の微分を行うには,次のような方法があります.
解
微分法が使いこなせるようになるには,いくつもの問題をこなす必要があります.そこで微分計算に必要な導関数をまとめておきます.