とそのグラフ上の点
が与えられたとき,どの直線を点
における接線とよぶことができるでしょうか.
この問題に答えるために,小さな数
を選び,グラフ上に点
を印します.ここで,この2つの点を通る直線(割線(secant line))を引きます.この状況を記すと次のようになります.
が徐々に右側から0に近づくと,割線は極限位置に近づいていきます.同様に
が0に左側から近づくと,割線は右側から近づいたときと同じ極限位置に近づいていきます.この極限位置の直線をグラフ上の点
における接線といいます.
割線の傾きは
これが,図形を用いた接線の考え方です.
ここからは,このような極限値をもっと系統立てて学んでいきます.
が
を含むある区間で定義されているとき,極限値
は,
で微分可能(differentiable) であるといいます.また,この極限値
を点
における微分係数といい,
で表わします.
の微分係数
を求めてみましょう.
解
となります.
これをグラフで見てみましょう.
図2.2を見て下さい.この図には
のグラフとその接線(tangent line)
が描かれています.ここで,
の
での微分係数と接線
の傾きが同じであることに気付いて下さい.つまり,
は関数
の
での接線の傾きを表わします.このことから,
のグラフ上の点
での接線の方程式は,
となります.また,接線と垂直な線を法線といい,
のグラフ上の点
での法線の方程式は,接線と法線は垂直であることから,
となります.
のグラフ上の点
における接線と法線の方程式を求めよ.
解
より,点
での接線の傾きは
. したがって,求める接線の方程式は,
が
で微分可能でなくても
で表わし,後の値を 右側微分係数(right-hand derivative) といい,
で表わします.微分可能の定義より,
と
が共に存在し,かつ両者が等しいときに限り
は
で微分可能となります.
は
で微分可能か調べてみましょう.
解
まず,
を求めると
を求めると
は
で微分可能ではありません.
は
で微分可能ではありませんでしたが,
で連続です.微分可能性と連続性の間にはどんな関係があるのでしょうか.
が
で微分可能ならば,
は
で連続である.
証明
を示せばよいでしょう.そこで
を
に近づけると
は
で微分可能であることに注意すると
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この逆,つまり連続ならば微分可能とはならないことは例題2.1 でみました.では関数が連続で微分可能ではないとき,グラフはどんな形をしているのでしょうか.図2.3を見てみましょう.
が
で微分可能でないとき,
となっています.これより
と
が存在し等しくないときには,関数
は
でとがっていることが分かります.
関数
が,ある区間Iの各点で微分可能のとき
は 区間Iで微分可能(differentiable on I) であるといいます.この場合,区間Iの各点にそこでの微分係数を対応させることにより定まる関数を
の 導関数(derivative) といい,
の導関数を求めることを 微分する(differentiate) といいます.
を微分してみましょう.
解
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を微分してみましょう.
解
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を微分してみましょう.
解
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例題 参照![]() |
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を微分してみましょう.
解
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. また,
より,
関数の導関数を,定義に基づいて求めるのは容易ではないことが分かりました.そこで,導関数の計算に必要な公式をまとめておきます.
が微分可能のとき次式が成り立つ.
(和の微分法)
(c : 定数)
(積の微分法)
(商の微分法)
証明
の証明.
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の導関数を求めてみましょう.
解
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の導関数を求めてみましょう.
解
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変数
が,ある
から
まで変化するときの変動量
を
の 増分(increment) といい,
で表わし,これに対応する
の変動量
を
の増分といい,
で表わすと,
は次のように表わすことができます.
とは
が
の主要な部分とみなせます.そこで,これを点
における関数
の 微分(differential) といい,
または
で表わします.つまり
のときは,
より
にそれぞれ別々に意味を持たせることができました.
の微分を求めてみましょう.
解
での微分係数を定義に基づいて求めよう.
に対応する点における接線の方程式を求めよう.
における右側微分係数,および左側微分係数を求めよう.