いままで考えてきた定積分は,閉区間において連続な関数に対して定義されたものでした.これを区間内に有限個の不連続点をもつ場合広義積分(improper integral),および無限区間の場合無限積分(infinite integral) に拡張します.
まず が で連続である場合には,関数 は で連続になるので
次に, が で連続であるが で不連続である場合を考えます.
もし
が で連続である場合も同様に,広義の定積分は
(1) (2)
解
(1) とおくと, は で連続となり,また の不定積分は なので,
(2) とおくと, は で連続となり,また の不定積分は なので,
また が で連続である場合も同様に,広義の定積分は
閉区間 上に の不連続点 がある場合を考えます.このとき,これらの点で を の部分区間に分け,各部分区間で の広義の定積分を考えます.そして,これらの広義の定積分がすべて存在するとき,それらの和を における定積分と定めます.つまり,
解 とおくと, は で連続となり,また の不定積分は なので,
ここで広義積分の収束,発散について調べるとき便利な比較判定法について考えてみましょう.
この定理で ととると,
[I]
解 とおくと, のとき は で不連続ですが, では
が で連続であるとき,有限な極限 が存在するならば,この極限値を の無限区間における定積分といい,
で表わします.このように積分区間が無限区間であるものを 無限積分(infinite integral) といいます.
同様に, が で連続であるとき,有限な極限 が存在するならば,この極限値を で表わします.
解 のとき,
また が で連続であるとき,有限な極限 が存在するならば,この極限値を で表わします.
解
ここで無限積分の収束,発散について調べるとき便利な比較判定法を述べておきます.
この定理で ととると,
解
[II]
解 のときはすでに例題3.9 で示しました.そこで, を考えます.このとき, は閉区間 で連続ですから, となります.次に について考えてみます.
ここにでてきた関数 を Gamma関数(gamma function) といい次の性質が知られています.
が自然数のとき,
証明
(1)
が収束するならば,関数 の から までの積分は 絶対収束(absolute convergent) であるといいます.また, は収束するが, が発散するとき,関数 の から までの積分は 条件収束(conditional convergent) であるといいます.