t分布

定義 3..1  

確率密度関数$ f_{n}(x)$

$\displaystyle f_{n}(x) = \frac{\gamma(\frac{n+1}{2})}{\sqrt{n\pi}\gamma(\frac{n}{2})}(1 + \frac{x^{2}}{n})^{-\frac{n+1}{2}} (n \geq 1)$

で与えられる分布$ T_{n}$自由度$ n$$ t$分布という.$ n\geq 3$のとき,その期待値と分散は

$\displaystyle E(T_{n}) = 0, V(T_{n}) = \frac{n}{n-2}$

となる.

定理 3..7  

$ X_{1},X_{2},\ldots,X_{n}$がいずれも正規分布 $ N(\mu,\sigma^2)$に従う互いに独立な確率変数とする.このとき,

$\displaystyle U^2 = {S'}^2 = \frac{1}{n-1}\sum_{i=1}^{n}(X_{i} - \overline{X})^2$

とし,正の平方根を$ U$とすると,

$\displaystyle T = \frac{\overline{X} - \mu}{U/\sqrt{n}}$

は自由度$ n-1$$ t$分布に従う。

定理 3..8  

$ Z$を標準正規確率変数, $ \chi_{n}^{2}$を自由度$ n$$ \chi ^{2}$確率変数とする。さらに,$ Z$ $ \chi_{n}^{2}$が互いに独立ならば,標本分布

$\displaystyle T_{n} = \frac{Z}{\sqrt{\chi_{m}^{2}/n}}$

は自由度$ n$$ t$分布に従う。

自由度$ n$$ t$分布を$ t(n)$と表す.

$ t$分布の正規近似

$ t$分布は自由度が大きければ標準正規分布で近似でき,

$\displaystyle P_{r}(T_{n} \leq c) \approx P_{r}(Z \leq c)$

となる。 $ \chi_{n}^{2}$$ n$個の独立な確率変数の和であるから,$ n$が大きければ $ \chi_{n}^{2}/n$は大数の法則により,1に収束する。$ T_{n}$確率変数の分母が1に近づくから,$ T_{n}$確率変数は分子の標準正規確率変数と変わらなくなる。