2つの集合の間の関係を決める規則を関数といいます.ここでは,実数の集合を考えます. を実数全体の集合とします.
ある実数の集合 に属する各数 に対して,実数 が1つ定まるような規則 を から への 1価関数(single-valued function),または単に関数といいます.また,各数 に対して,実数 が2つ以上定まるような規則を 多価関数(multi-valued function) といい, 共に で表わし, は の関数であるといい, で表わします.このとき, を独立変数, を従属変数といいます.
解 各数 に対して, という実数 が1つ定まるので は1価関数です.また, となります.
このように変数 と定数との間に足し算,引き算,掛け算という3つの演算を用いて得られた関数 を整式といいます.また, を の2乗の6倍と を3倍したものの和で割って得られる関数
上の関数の定義にでてきた を関数 の 定義域(domain) といい で表わします.つまり, は が実数となるような実数 の集合のことです.そこで,これを
と表わします.ここで, とは, は の元である.つまり は実数であることを意味しています.
また, を の 像(image) といい,その集合を 値域(range) といい で表わします.つまり,
これら と を 平面上に点として描いていくと,関数 のグラフとよばれるものができます.つまり,集合 が関数 の グラフ(graph) で, で表わします.
解
解
さて,関数 の作られ方をみていると, と の間に四則の演算を定義することができるでしょう.
解 区分的に定義された関数の和,差,積を求めるには,2つの関数の区分を同じにする必要があります.つまり,
1.1 で関数どうしの四則の演算について学びました.ここでは関数どうしのつなぎ方として,合成法則(composition) とよばれる方法について考えます.
まず, と 2つの関数を用意します.次に任意の に対して規則 を用いて1つの実数 を取り出します.もしこの が関数 の定義域に入っていれば,規則 を用いて1つの実数 を取り出すことができるでしょう.ところで,この実数 は何なのでしょうか.
もし の値域が の定義域に含まれていれば, の定義域内の各数 に対して, を作ることができます.これは の定義域内の各数 に対し,ただ1つの実数 を定める規則と考えられます.よってこの規則を と の 合成関数(composite function) といい, で表わすと となります.
解
このように,合成の順序を変えると答が違ってくることがあります.これは実生活の中でも経験します.例えば, 円の商品を 割増しにしたものを 円引で売るのと, 円引にしてから 割増しにするので値段が違うことと同じ関係です.
逆関数(inverse functions)
関数 の定義域 内の任意の2数 に対して,
となります.
解 1対1であるためには
関数のグラフが描ける場合,軸と平行に線を引いて,2点以上グラフと交わるとこの関数は1対1ではありません.
もう少しして,微分について学ぶと関数 が1対1か調べるのに便利な方法があります. 関数 の定義域 に含まれる任意の2数 に対して,
解
まず,この関数が1対1の関数であることを示します.
(a) 偶関数と偶関数の積と偶関数と奇関数の積はどうなるか.
(b) 偶関数の特徴と奇関数の特徴について述べよう.