実数の絶対値は
で与えられます.ここで,2つのギリシャ文字(デルタ)と
(イプシロン)を用います.
まず,不等式
を考えます.ただし,は正の数.
とは,が原点からの範囲内にあるということです.つまり,はからの間にあるということです.したがって,
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(0.2) |
次に,
とは,が点からの範囲にあるということです.したがって,
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(0.3) |
最後に,
とは,
でかつ
であるということです.最初の不等号はであるといっています.したがって,
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(0.4) |
となります.
例題 0..9
次の不等式を解いてみましょう.
解 式(3)より,
したがって,不等式の解は
のとき,
とは,原点からまでの距離が
より大きいことを表している.したがって,
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(0.5) |
例題 0..10
次の不等式を解いてみましょう.
解 式(5)より,
最初の不等式からよって. また,2つ目の不等式からよって.したがって,不等式の解は
微分積分学の基本的な不等式の中に,三角不等式(triangle inequality)とよばれるものがあります.
定理 0..1
全ての実数に対して
が成り立つ.
証明 を
とおくと証明は簡単です.まず,
両辺の平方根をとると,
ここで,
であることに注意すると,不等式が得られる.
微分積分学で用いられる不等式には,次のものもあります.
確認問題
- 1.
- 次の不等式を解こう.
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
- 2.
- どちらが大きいか比較しよう.
- 3.
- 次の不等式を解こう.
(a)
(b)
(c)
(d)
- 4.
- 全ての実数に対して,
が成り立つことを示そう.