微積分では不等式を解くことが要求されます.そこで,ここでは,不等式の解き方について学びます.不等式を解く方法は,方程式を解く方法とよく似ています.不等号の向きは,両辺に同じものを加えたり,両辺から同じものを引いたり,両辺に同じ正の数をかけたりしても変わりません.しかし,両辺に負の数をかけると不等号の向きは反転します.つまり,
の両辺に2を加えると,
となり,これよりとなります.また,の両辺に
をかけると
となり,これよりとなります.しかし,の両辺に
をかけると不等号の向きが逆になり,
となります.これを整理すると,を得ます.ここで,求めた不等式を数直線上に記してみましょう.例えば,はより大きな全ての実数を表しています.そこで,と書く代わりに,区間を用いて
と書くことができます.
区間を集合を用いて表すと
区間を集合を用いて表すと
区間
を集合を用いて表すと
区間
を集合を用いて表すと
となります.
例題 0..6
次の不等式を解いてみましょう.
解 この不等式を解くには,の周りにあるものを除いてやればよいでしょう.まず,両辺を2倍することにより
を除きます.
次に,1を両辺から引くと,
したがって,不等式の解は
となります.
例題 0..7
次の不等式を解いてみましょう.
解 まず,両辺を5倍することにより
を除きます.
この2次式を因数分解すると,
積
が0になるのは,1と3です.そこで,これらの点を数直線上に白抜きまるで印を付けておきます. これにより,数直線は次の3つの区間に分割されます.
これらの区間内では,積
の符号(sgn)は変わりません.
これより,不等式の解はとなります.
例題 0..8
次の不等式を解いてみましょう.
解 まず,両辺に-1を加えて右辺の1を削除します.
整理すると
ここで,分母を払うのですがをかけて払うと,の符号を気にする必要があります.そこで,を両辺にかけて分母を払うと
となります.
積
が0になるのは,
と1です.そこで,これらの点を数直線上に白抜きまるで印を付けておきます. 次に,等号は分子が0のときだけ満たされるので,
の点を黒く塗ります.これにより,数直線は次の3つの区間に分割されます.
これより,不等式の解は
となります.