1変数関数 の定積分に関する置換積分の公式に対応するものを2重積分で考えてみましょう.
いま 平面上の領域 と 平面上の領域 との間に
なる1対1で上への対応 があり, は に関して 級であるとします.さらに,
は 上で常に0にならないものとします.このとき次の定理が成り立ちます.
定理 7..4
[変換公式] 上で連続な関数 に対して次の式が成り立つ.
ここで用いられた を ジャコビアン(Jacobian) といいます.簡単な例でジャコビアンを説明しましょう.
例えば, が
で与えられたとします.すると,
と表わせ,が正則行列ならば,逆行列 が存在するので,
ここで, 平面上に4点
を頂点とする長方形を考えます.この長方形の面積は
で与えられることに注意し,対応する 平面上の図形の面積を求めてみましょう.
より
よって, 平面上の図形の面積
は
これより
これがジャコビアンです.
特に極座標
を直交座標 に変換するときは,
より,
となるので,
定理 7..5
[極座標変換]
例題 7..3
変数変換を用いて次の積分を計算してみましょう.
図 7.7:
変換前と変換後
|
解
極座標変換を用いると,
, また,
より
.よって は
にうつる.したがって,
例題 7..4
のとき,2重積分
を計算してみましょう.
解
極座標変換を用いると
より は
にうつるので,
確認問題
- 1.
- 次の 重積分を計算しよう.
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
- 2.
-
とおくと,領域
はどんな図形に移されるか図示せよ.また,この変数変換を用いて,2重積分
の値を求めよう.
- 3.
-
とするとき,2重積分
の値を求めよう
演習問題
- 1.
- 次の 重積分を計算しよう.
(a)
(b)
(c)
(d)
(e)
(f)
- 2.
-
に変換して,次の積分を求めよう.