ここでは2重積分の計算について考えます.
2重積分をその定義に基づいて計算することは,2変数関数のRiemann和を求めて計算することに相当します.これは一般に困難なので,次の定理によって,2重積分を 累次積分(repeated integral) とよばれる単一積分の反復に変えて計算します.
(1) で囲まれた閉領域 で, が連続ならば
で囲まれた閉領域を 横線集合(H-simple) といいます.
この定理は次のように考えることができます.
2重積分
解 まず, を図示(図7.5)すると
この領域はV-simpleなので,定理7.2(1)より
解 この領域はH-simpleでもありV-simpleでもあります.そこでまずV-simpleを用いて計算してみます.
V-simpleより は次のように表わすことができます.
次にこの積分をH-simpleを用いて行なってみます.この場合 は次のように表わすことができます.
このようにV-simpleで行なった積分をH-simple または H-simpleで行なった積分をV-simpleで行なうことを 積分順序の交換(change the order of integration)をするといいます.
(a) 曲面で上に有界で3点 を頂点とする三角面で下に有界な立体
(b) 曲面で上に有界で点 を頂点とする正方形で下に有界な立体
(c) 曲面 で上に有界で単位円盤 で下に有界な立体
(d) は と で囲まれた領域