3.7章で,区間 で定義されている1変数関数の定積分をRiemann和を用いて定義しました.ここでは平面上の有界閉領域 で定義されている2変数関数の定積分を フランスの数学者 Jean Gaston Darboux(1842-1917) によって用いられた方法で定義します.
長方形上の2重積分
平面上の長方形 上で定義された関数を とします.次に を 軸, 軸に平行な直線で分割し,分割された小長方形を とします.この分割を で表わします.つまり,
有界閉領域上の2重積分
次に,有界閉領域 上の積分を考えます.
平面上の有界閉領域 上で定義された関数を とします.図7.1 に示すように領域 を内部に含む長方形を とし, を 軸, 軸に平行な直線で分割し,分割された小領域(小長方形)を とします.この分割を で表わします.ここで の内部に完全に含まれる小長方形の面積の和を , の点を含むすべての小長方形の和を とします.すると は上に有界な集合で, は下に有界な集合です.これより,
ここで,
また, の任意な点 に対して,
3変数関数 についても2変数の場合と同様に,3重積分が定義され,これを
1変数のときと同じように,次の定理が成り立ちます.
重積分の定義よりただちに次の公式が得られます.
が定数ならば,
を領域 の面積とするとき
証明
(1) を を含む長方形, を の面積とすると,