は1変数のときの導関数と同じような性質を持っています.例えば,
と
がともに存在するとき,
,
も存在し,
となります.
ここでもう一度偏導関数の定義をみましょう.
とおくと,
これから分かるように,偏導関数 は
は単位ベクトルより とおくこともできます.ただし はx軸の正方向と のなす角です.
方向微分とgradientの間には次の定理で与えられるように密接な関係があります.
証明 が で全微分可能より が存在し,
ここで より,方向微分は の方向が と同じ方向になったとき一番大きく, と直交したとき 0 になります.これを等高線図6.5 で考えてみましょう.
のgradientを計算すると
解 まず,方向ベクトル は単位ベクトルでなければならないので, を求めると,
(a) 点からどの方向に進むと,温度上昇が最も大きいか.また,そのときの温度の変化率を調べよう.
(b) 点からどの方向に進むと,温度下降が最も大きいか.また,そのときの温度の変化率を調べよう.