について点 で次のような極限を考えます. をー定にして, の関数 が で微分可能なとき,つまり
解
の各点 に,その点における に関する偏微分係数を対応させることにより得られる関数を の に関する偏導関数(partial derivative) といい,
解 を求めるには, を定数と考えて, を について微分します.
これから分かるように1変数の導関数が求められれば,何の問題もなく2変数の偏導関数が求められます.
偏導関数 がさらに偏微分可能なとき,それらの偏導関数を 第2次偏導関数(2nd partial derivatives) といい,
解を見る前にある学生の解答をみてみましょう.
を求めればよいので,まず, を求めます.
残念ながら,この学生の解答は正解ではありません(なぜでしょう?).正解をみてみましょう.
解 より となるので, は点 で偏微分可能となります.
2次以上の偏導関数を高次偏導関数といいます.高次偏導関数では,微分する順序に注意しなければならないことがあります.つまり,関数 について常に が成り立つとは限りません.次の例題は を示すのに,よく用いられる例題です.
解
このように と はいつも等しいとは限りません.そこで が成り立つための十分条件(この条件のもとなら必ず成り立つという条件)を述べておきます.その前に,ちょっと準備をします.
準備ができたので, が成り立つための十分条件を示してみましょう.
証明 偏導関数の定義と平均値の定理をつかって証明できるので,各自に任せる.