標本抽出
日本の小学6年生をとし,小学6年生の各人の身長をとすると,母集団はと表せます.この母集団から取り出した個の要素の組 を大きさの標本といいます.このとき,個々のはと同じ分布をする確率変数が実現した数値でなければなりません.そこで,確率変数の組 を大きさの確率標本変数といいます. 確率標本変数 に要求される数学的条件は,各が母集団のと同じ分布をする独立な確率変数であることです.では,実際に標本を選ぶときには,どのようにしたらよいのでしょうか.それには,個々の標本が全く偶然に,つまり同じ確率で現れるように選ばれる必要があります.例えば,6人から1人を選ぶには,正しいサイコロを振って決めるとか,52人から2人を選ぶとき,トランプのカードに各人を対応させて,よく切ったあと2枚を選ぶなどがあります.このようにして,標本を選ぶことを無作為抽出またはランダム抽出といいます.そして,このようにして選ばれた標本を確率標本といいます.
この母集団から無作為に抽出された標本を
標本平均の分散と標準偏差を求めよう.
解答
確率変数の平均値を,標準偏差をとすると,定数 に対して
母平均, 母分散の母集団がある.ここから抽出した大きさの標本平均を とする.いま ととの差が標準偏差の より小さい確率を以上にしたい.をいくらにとればよいか.
解答 題意を式で表すと
統計的推定
母集団から無作為に抽出された標本
点推定
点推定は母数を1個の数値で定めようとする方法のことです.全数調査ができれば,母集団の母数は簡単に求めることができます.しかし,大事なことは,全数調査ができないときに,標本を通して母数の情報を得ることです.
母数をとし,これに対し大きさの標本変量 の統計量 を考えます.この関数に抽出された標本値 を代入した値 でもって,の値であると推定することを,の点推定という.
不偏推定量
ある推定値 について,
母集団 において,次の統計量は不偏推定量である.
は不偏推定量であることを示そう.
解 より,
しかし,母分散 を推定するには,不偏性とは異なる立場をとると,よりも標本分散