分布は1つの自然数を含む連続型分布で,
と表しをその自由度という。分布の密度関数は次の式で与えられる。
ここで,ガンマ関数は
で定義される。
分布の名前は次の性質から来ている。
定理 5..1
確率変数
が同一の標準正規分布に従い,互いに独立ならば,その統計量
は自由度の分布に従う。その期待値と分散は
定理 5..2
[分布の加法性]
がそれぞれ自由度,の分布に従い,互いに独立ならば,
は自由度の分布に従う。
標本確率変数
の標本分散は
で定義される。しかし,この式から求まる標本標準偏差は一般に標準偏差として用いられていない。その理由は,
となり,の期待値は母分散の期待値と異なる。そこで,多くのテキストでは,
と定義している。この定義によれば,
となる。このような統計量を母分散の不偏推定量という。
標本分散に関して,次の定理がある。
定理 5..3
の正規分布に従う母集団から無作為で得た標本を
とすると,
は自由度がの分布に従って分布する。
演習問題 5..2
1. 母集団が正規分布であるとする。が20の標本から標本分散を求めたところ,その値は1.5であった。母分散が1のとき,標本分散が1.5より大きい確率を求めよ。