正規分布の応用(Application of normal distribution)

定理 4..1  

$X_{1},X_{2},\ldots,X_{n}$が互いに独立で正規分布 $N(\mu, \sigma^{2})$に従っているとすると,

$\displaystyle \bar{X} = \frac{X_{1} + X_{2} + \cdots + X_{n}}{n} \sim N(\mu, \frac{\sigma^{2}}{n})$

定理 4..2  

[中心極限定理(Central limit theorem)] $X_{1},X_{2},\ldots,X_{n}$が互いに独立で同じ分布にに従っているとする.このとき,$n$が十分大きければ

$ \bar{X} = \frac{X_{1} + X_{2} + \cdots + X_{n}}{n}$は近似的に $ \sim N(\mu, \frac{\sigma^{2}}{n})$に従う.

定理 4..3  

[ラプラスの定理] $X \sim B(n,p)$のとき,十分大きな$n$に対して

$X$は近似的に $ N(np, np(1-p))$に従う.

演習問題 4..3  

1. $X \sim N(170,10^2)$のとき,次の確率を求めよう.

(a)
$P_{r}(X \leq 160)$
(b)
$P_{r}(160 \leq X \leq 175)$

2. $Z \sim N(0,1)$のとき,次の式を満たす$\lambda$を求めよ.

(a)
$P_{r}(Z > \lambda) = 0.05$
(b)
$P_{r}(\vert Z\vert > \lambda) = 0.05$

3. 全国の20才に男子の身長は正規分布 $N(168.9,5.6^2)$に従うものとする.

(a)
身長の大きさに順に総数を10等分するためには,境界値をいくらにすればよいか.
(b)
20才の男子120名を抽出して,身長の平均値が168.9cmより1.3cm以上かたよる確率を求めよ.

4. 2項分布,ポワソン分布,正規分布について,次のことがいえます.
$X \sim B(n,p)$のとき,

$\displaystyle X \sim \left\{\begin{array}{cl}
P_{o}(\mu) &, np \leq 5\\
N(\mu,\sigma^2)&, np > 5
\end{array}\right.  \mbox{で近似される} $

このことを用いて次の質問に答えよう.

(a)
$X \sim B(100,0.02)$のとき, $P_{r}(X \geq 2)$を求めよ.
(b)
$X \sim B(100, 0.2)$のとき, $P_{r}(X \geq 25)$を求めよ.
(c)
1個のさいころを600回投げて,1の目の出る回数$S$が90回以上100回以下である確率を近似せよ.
(d)
100枚の偏りのない硬貨を同時に投げる.表の出る回数が40以上60以下の確率を近似せよ.