幾何分布(Geometric distribution)

繰返し独立に試行を行うとき,注目している事象が初めて起こる直前までの試行回数を$X$とし,$p$を注目している事象が起こる確率とすると,注目している事象が$i+1$回目に起こる確率は,

$\displaystyle P_{r}(X = i) = (1-p)^{i}p$

となる。このとき,確率変数$X$幾何分布(Geometric distribution)$G_{e}(p)$に従うといい,

$\displaystyle X \sim G_{e}(p)$

と表す。また,

$\displaystyle E(X) = \frac{q}{p}, V(X) = \frac{q}{p^{2}}$

で与えられる。

期待値$E(X)$を求める一つの方法に,母関数(generating function)を用いる方法がある。

離散型の場合

$\eta(t) = E(t^{X}) = \sum_{k=0}^{\infty}t^{k}P(X = k)$とおくと, $\eta'(t) = E(Xt^{X-1})$より,$t=1$のとき, $\eta(1) = E(X)$となる。よって,期待値は$\eta(t)$が求まれば微分することにより求めることができる。

連続型の場合

$\phi(t) = E(e^{tX}) = \int_{-\infty}^{\infty}e^{tx}dF(x)$とおき,$e^{tx}$を整級数で置き換えると,

$\displaystyle \phi(t)$ $\displaystyle =$ $\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}e^{tx}dF(x)$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \int_{-\infty}^{\infty}\sum_{k=0}^{k}\frac{(tx)^{k}}{k!}dF(x)$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \sum_{0}^{k}\frac{t^{k}}{k!}\int_{-\infty}^{\infty}x^{k}dF(x)$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle \sum_{0}^{k}\frac{t^{k}}{k!}E(X)$  

これより,

$\displaystyle \phi'(t) = \sum_{1}^{k}\frac{kt^{k-1}}{k!}E(X)$

ここで,$t=0$とおくと,

$\displaystyle \phi'(0) = E(X) $

となる。

演習問題 4..4  

1.
(a)
$X \sim G_{e}(p)$のとき,

$\displaystyle E(X) = \frac{q}{p},  V(X) = \frac{q}{p^2} $

を示そう.ただし,$q = 1 - p$.
(b)
勝率3割のチームは平均して何試合目にはじめて勝つか求めよ.