広義固有空間
を次正方行列とし, を
の部分空間とします.に属する任意のベクトル
に対して
となるとき, 部分空間はA - 不変(A - invariant)であるといいます.
行列の固有多項式を固有値の重複度でまとめて
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(5.1) |
と表します.ここで, 固有値
に対して
とおくと包含関係
が成り立つ.次元を考えれば, これは無限には続かず
となります.このとき
です.
定理 5..1
を次の正方行列, その固有多項式を(5.1)とする.このとき広義固有空間
に対して, 次が成り立つ
(1) |
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(2) |
相異なる固有値に対する広義固有ベクトルは1次独立 |
(3) |
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証明
(1) のとき,
となるベクトル
が存在したとする.このとき
を満たす0以上の整数がある.
とおくと
となる.
より,
となる整数がある.しかし,
より
となるが, のとき
としたので, これは矛盾である.
(2)
をの相異なる固有値とする.
に対して
が成り立つことを帰納法を用いて示す.の場合は明らかなので
が成り立つと仮定する.条件より
が成り立つので,
となる整数をとり, 上の式(**)の両辺に左からかけると
は
- 不変より,
となる.また, (1)よりのとき
.したがって,
となる.これより帰納法の仮定が使えて,
を得る.よって,
となり, を得る.
(3) (2)で示した1次独立性より
が成り立つ.また,
なので, (3)を示すには
をいえばよい.
行列は, 定理4.1より, ユニタリ行列を用いて次の形に三角化できる.
いま,
とおくと, は
の次元部分空間になる.また,
の形よりの任意のベクトル
に対して
が成り立つ.ここで, は正則なので
となる.したがって,
とおくと, は
に含まれる次元の部分空間になり, 不等式
を得る.固有値の順番を入れ替えて考えれば,
が成り立つ.
定理 5..2
を次の正方行列, その固有多項式を(*)とする.このときは適当な正則行列により
の形に表される.ここで
は次正方行列であり, その固有多項式は
である.
証明
から基底
をとる.
は - 不変なので,
と表せる.ここで
とおくと, は次正方行列である.定理5.1より
は
の基底となる.したがって,
とおくと, は正則行列となり
を満たす.この式の両辺にを左からかければ求める式を得る.
この関係式を用いると
となる.したがって, の固有値が
だけであることを示せば
が示される.が
を固有値として持ち,
に対する固有ベクトル
が取れたとする.すなわち,
とする.このとき
とおくと,
で
を満たす.したがって,
は
, つまり,
を満たす.しかし, これは
を意味し, 定理5.1に矛盾する.