Gaussの消去法は連立1次方程式を解くための主要な道具です.ここでは,拡大係数行列
のピボットの乗数から,行列を下三角行列と上三角行列の積で表す方法を学びます.
では,どうやってと分解するのか.
より係数行列は
となる.
ピボット
より,乗数
.ここで,行基本変形
,
,
を行うと
となる.次にピボット
より,乗数
.ここで,行基本変形
,
を行うと
となる.は上三角行列より
とすればが求まります.では,はどうなっているのでしょうか.ここで行った操作を行列になおして考えると,
まず,
,
,
を行うことは,行列に行列
をかけることと同じです.この行列のことをGaussの第1変換行列(first Gaussian transformation matrix)という.次に行った行基本変形
,
はに対してであり,Gaussの第2変換行列は
となる.
つまり,
より,
となります.ここで,
とおくと,
と表せます.
より,
となる.よって
となる.分解の行列の対角成分は全て1であることに気付きます.
これを一般化すると
定理 2..12
行の入れ替えを行わずに,行列が上三角行列に変形できるならば,行列は下三角行列を用いてに分解できます.
ここで,
,
1. 次の連立1次方程式を解け.
2. 次の行列を分解せよ.
(a)
(b)