次に向きのついた曲線
と
の上で定義されたベクトル場
が与えられているとします.ここで
の接線単位ベクトル
を曲線
の正の方向(長さが増加する方向)での接線単位ベクトルとします.すると
は
上で定義されたスカラー場となるので,このスカラー場の曲線
に沿っての線積分は
の向きのついた曲線
に沿っての線積分といいます.特に
で表わすことができます.
ここでベクトル場
が電場の場合を考えると,
は正の電荷が点Pから点Sまで曲線
にそって移動するとき,電場
が行なう単位電荷あたりの仕事と考えることができ,これを2点間の電位差または電圧といいます.
の回りを一周するのに行なった仕事量を求めてみましょう.ただし,ベクトル場は
解
とおくと.
を求めてみましょう.ただし,
は曲線
の点
と点
を結ぶ曲線とします.
解
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||
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別解
曲線
をパラメター
で表示すると
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||
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この例題で
を曲線
の向きを
から
に変えた曲線とすると,
曲線
のパラメター表示は
とおくと,
より
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となります.
これまでに保存場では,ベクトル場はスカラー場の勾配と大きさが等しくなることをすでに学びました.では線積分との関係においては,どんなことが成り立つのか調べてみましょう.
では次の条件は同値である.
(1)
となるスカラー関数
が存在する.(
は保存場)
(2) 任意の閉曲線
について
が成り立つ (積分経路無関係).
位置エネルギー
力の場
がポテンシャル
をもつとします.つまり,
が成り立つとします.この力の場内に曲線
を考え,曲線
は点PからQに至るとします.質点がこの力の場の作用を受けながら,この曲線
に沿って点PからQまで移動したとき,この質点が
から受ける仕事量
は
の選び方に関係しません.そこで,ポテンシャル
の点Pに値
を,この力の場の点Pにおける位置エネルギー(potential energy)といいます.
,
とすると,ベクトル場
はスカラーポテンシャル
をもつことを示し,空間の各点における位置エネルギーを求めよう.
解
より,
.
または,
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となり,ベクトル場
はポテンシャル
をもちます.したがって,点Pにおける位置エネルギーは
となります.
がポテンシャル
をもつとする.この力の場内で質量
の質点が運動して,点Aから点Bまで移動したとき,次の式が成り立つことを証明せよ.
はそれぞれ点A,Bにおけるこの質点の速度ベクトルの大きさである.
の中で質点が曲線
から
まで運動する間に力
がする仕事量
を求めよ.
,ベクトル場
がある.媒介変数表示
で表される曲線を
とする.次の線積分を求めよ.
とする.任意の閉曲線
について
であることを証明せよ.
がポテンシャル
をもつとする.この力の場内で質量
の質点が運動して,点Aから点Bまで移動したとき,次の式が成り立つことを証明せよ.
はそれぞれ点A,Bにおけるこの質点の速度ベクトルの大きさである.
軸を除外した領域
で
は定義されている.
平面上で原点Oを中心とし,半径
の円を
とする.次の等式を証明せよ.