線形写像
が与えられたとき,
と
の基底の取り方によって
の行列表現が変わることを学びました.ここでは
の基底から
の基底に移す行列, 変換行列(transition matrix) と行列表現の関係について考えます.
が
で与えられているとき,
の標準基底
から一般の基底
への変換行列
を求めよ.また
とするとき
を求めよう.
解
まず,
となる行列を求める.
は
を求める.例題3.3より
.よって
この例題をよく見ると,
が成り立っています.これは偶然でしょうか.行列表現と基底の変換行列の間ではこのようなことがいつも成り立っているのか考えてみましょう.
の基底
に関する行列表現を
, 基底
に関する行列表現を
とする.
から
の基底の変換行列を
とすると,
が成り立つ.
証明
演習問題3.5より
から
の基底の変換行列
は
次の正則行列で,
は
とすると,
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ふたつの
次の正方行列
に対して,
を満たす
次の正則行列
が存在するとき,
と
は 相似(similar)であるといい,
と表します.
線形変換
の性質は行列表現と密接な関係をもっていますが, 基底のとり方によっては
のほうが
よりも分りやすい行列になることがあります.こんなときには
の性質は
よりも
で調べた方がよいでしょう.そこで残りの章は, 行列
に対して, 正則行列
をうまく選んで,
を簡単な行列(対角行列, 三角行列など)に直す方法について学びます.この簡単な形を行列の 標準形(canonical form) とよんでいます.