平面上の有界閉領域 上で定義された関数
が 級であるとき,
は滑らかな曲面であるということを学びました.ここで 上の点Pの位置ベクトル
が2変数 の関数であるとき,
を曲面 のパラメター表示といいます.
例題 8..1
をパラメーター表示せよ.
解
とすると, よって
図 8.1:
接平面と法線ベクトル
|
において を固定して だけ変化させると,
は曲面 上で 1 つの曲線を描きます.この曲線を 曲線(u-curve)
といいます.同様に 曲線(v-curve)も定義されます.また,
はそれぞれ u 曲線, v 曲線の接線ベクトルとなります.この u 曲線, v 曲線の接線ベクトルが1次独立のとき,つまり
のとき,パラメター表示された曲面
は滑らかな曲面になります.
曲面
上の点
において,その点を通り,
2 つのベクトル
によって決定される平面を,
点 における曲面の 接平面(tangent plane) といいます.
また接平面に垂直なベクトル
を
法線ベクトル(normal vector) といいます.図8.1参照.
例題 8..2
の点 における接平面を求めてみましょう.
解
とすると,
これより接平面 の法線ベクトル
を求めると
より
よって点 における接平面の方程式は
空間の点Pの位置ベクトルが, の関数 で与えられ, が 平面の領域 を動くとき,点Pは空間内に1つの曲面を描きます.このとき点Pが描く曲面の面積 は2重積分の応用として
であたえられる曲面の面積を求めたときと同じようにして
で与えられます.このとき
を曲面
の 面積素(area element) といいます.
例題 8..3
曲面の方程式が
であたえられているとき,面積素を求めて,曲面積の公式を導いてみましょう.
解
とおくと,
よって
これより,面積素は
次に であたえられる平面を とすると,
例題 8..4
球面の位置ベクトルが
で与えられている.これを用いて球の表面積を求めてみましょう.
解
より
よって
となります.
演習問題
- 1.
- 次の曲面の接平面の方程式を求めよう.
(a)
: 点
(b)
(c)
- 2.
- 曲面の方程式が次の形で与えられたとき,曲面の面積素を求めよう.
(a)
(b)
(c)
(d)