2重積分と同様に3重積分も累次積分として表わすことができます. 空間の有界閉領域を とし, の 平面への正射影を とすると, は
が成り立ちます.さらに,
が成り立ちます.
3重積分についても2重積分の場合と同様に次の定理が成り立ちます.
ここで変数変換の中で特によく用いられる円柱座標変換と球面座標変換について学びます.
解 円柱座標変換を用いると, は
解 球面座標変換を用いると, は
2重積分の応用で を面積として考えました.同じようにして,ここでは, を体積として考えることができます.
もし密度 がそれぞれの点で連続的に変化し, ならば,立体 の質量 は
で表わせます.特に密度 のとき
解 3重積分を計算するために を適当な座標軸面に正射影します.ここでは 平面に正射影します.ここでV-simpleを用いると
実際,体積を求めるのが目的ならば,底面積高さ よりすぐに求まります.そこで,ここでは,三角錐の各点における密度が異なる場合を考えてみます.
解
体積,質量と求めてきたので最後に重心を求めてみましょう.まず平面上に 個の点 からなる質点系があって,点 の座標は .また の質量が で与えられているとします.このときこれらの点がつりあうように 軸に垂直な線 を引くと,この線に対して反時計回りのモーメントと時計回りのモーメントはつりあっているはずです.よって
平面上の有界閉領域 の各点 に密度 が与えられているときは, の分割 をとり,それぞれの の中から任意に点 を選び,質点系 の重心 を考えます. の面積を とおくと
空間の閉領域 に,密度 が与えられている場合にも,同様にして重心 が次のように定まります.
解
(a) ボール の質量.ただし,密度は中心からの距離に比例するとする.
(b) 平面と曲面 で囲まれた円錐の質量.ただし,密度は原点からの距離に比例するとする.
(c) 放物面 と曲面 で囲まれた部分の体積.
(a) 密度一定のとき, と とで囲まれた閉領域
(b) 密度一定のとき, と とで囲まれた閉領域
(c) 密度一定のとき, と とで囲まれた閉領域
(a) 密度一定のとき, と とで囲まれた閉領域
(b) 密度が中心からの距離に比例するときの,半球
(c) 密度一定のとき,底面の半径が ,高さが の直円錐.
(d) 密度一定のとき, であらわせる領域
(f) 密度が原点からの距離に比例するときの, であらわせる領域