曲線
は空間を運動している点Pが描いた軌跡と考えることができます.ここで区間 は時間の区間と考え,
を時間 における物体の位置と考えます.すると
運動
に対して,
は運動の 速度ベクトル(velocity).また,
は 加速度ベクトル(acceleration) となり,それぞれ
で表わします.つまり,
すでに学んだように,接線単位ベクトルは
で表わせるので,速度ベクトルは
となります.よって,速度ベクトルは点の軌跡に対して接線方向のベクトルです.速度ベクトル の大きさ,
は弧の長さの変化率または速さで で表わされます.つまり,
次に加速度についてもう少しよく理解するために,速度ベクトルを考えてみましょう.
の両辺を微分すると
ここで
より
これより
これが加速度の接線方向と法線方向への分解です.つまり
例題 5..10
のとき
を求めてみましょう.
解
より のとき
となるので
ここで
を求めるには色々な方法があります.ここでは計算が簡単な方法を考えます.
より
したがって,
他にも
よって
と求めることができます.
接線単位ベクトル
,主法線ベクトル
と直交するベクトル
を 従法線単位ベクトル(binormal unit vector) といいます.また,
を満たす をねじれ率(torsion)といいます.
ここで,これまでにでてきた3つの単位ベクトル
について調べてみましょう.図5.2参照.
まず,
は互いに直交するベクトルです.また,これらのベクトルの間には Frenet-Serret (1819-1885) によって示された次の関係が成り立ちます.
定理 5..3
[Frenet-Serret]
証明
式5.1 より
また,ねじれ率の定義より
.次に.
を で微分すると
例題 5..11
曲線
について,次のものを求めよう. ただし, は任意の正の定数とする.
に対する弧長
接線単位ベクトル
主法線単位ベクトル
と 曲率
従法線単位ベクトル
とねじれ率
解
(a)
より
したがって,
(b)
(c)
より
また,
より
(d)
また,
より
演習問題
- 1.
- 次のベクトル値関数で与えられる点運動に対して のとき
を求めよう.
(a)
(b)
(c)
- 2.
- 次の曲線について,
,曲率 ,ねじれ率 を求めよう.
(a)
(b)