確率変数(Random variable)

確率変数$X$のとる値が有限個または,無限個であっても自然数で番号が付けられる場合,確率変数$X$離散型(discrete)であるという.また,確率変数$X$がある区間内の全ての実数を取り得る場合,連続型(continuous)であるという.

離散型の場合

確率変数$X$のとる値を $x_{1},x_{2},\ldots, x_{n}$とし,各事象 $(X = x_{i})$の確率を $p_{1},p_{2},\ldots,p_{n}$とするとき,

$\displaystyle P(X = x_{i}) = p_{i}  (i = 1,2,\ldots, n)   \sum{p_{i}} = 1, (p_{i} \geq 0)$

で表される.これより,$X$の確率分布$f$

\begin{displaymath}\begin{array}{\vert c\vert c\vert c\vert c\vert c\vert}\hline...
... f(x_{i} & p_{1} & p_{2} & \cdots & p_{n} \ \hline
\end{array}\end{displaymath}

また,確率変数$X$のとる値を $x_{1} < x_{2} < \cdots < x_{n}$とするとき,その分布関数$F(x_{r})$は次のように求められる.

$\displaystyle F(x_{r}) = P(X \leq x_{r}) = p_{1} + p_{2} + \cdots + p_{r} = \sum_{i=1}^{r}p_{i}$

確率分布$f$と分布関数$F$は次の性質をもつ.

  1. $0 \leq p_{i} = f(x_{i}) \leq 1  (i = 1,2,\ldots, n)$
  2. $F(x_{n}) = P(X \leq x_{n}) = p_{1} + p_{2} + \cdots + p_{n} = 1$
  3. $P(a < X \leq b) = F(b) - F(a)$
  4. $a < b$ $\Longrightarrow$ $F(a) < F(b)$

連続型の場合

確率変数$X$が連続的な値をとるとき,事象 $\{X \leq x\}$の確率が連続関数$F(x)$によって,

$\displaystyle F(x) = P(X \leq x) = \int_{-\infty}^{x}f(x) dx$

で与えられるとき,$F(x)$$X$分布関数といい,$f(x)$確率密度関数という.

演習問題 3..1  

(1) 男児と女児の出生率が等しいと仮定して,4児を持つ家庭の確率変数$X$の値と確率分布$f$を求めよ.

(2) 1つの袋に赤玉4個と白玉6個が入っている.同時に3個の球を取り出す場合,赤玉の個数を表わす確率変数$X$と確率分布$f$を求め,そのグラフをかこう.また, $P(X = 1), P(1 \leq X \leq 3)$を求めよう.

3. 与えられた $a,b  (a < b)$に対して,関数 $\displaystyle{f(x) = \left\{\begin{array}{ll}
k & (a < x \leq b) \\
0 & (x \leq a, x > a)
\end{array} \right. }$

が与えられている.

(a)
$f(x)$が確率密度関数であるためには,定数$k$はどのような値であるか.
(b)
$a \leq c \leq b$である$c$に対して $P(X \leq c)$を求めよ.

4. 確率密度が

$\displaystyle f(x) = \left\{\begin{array}{cl}
0 , x \leq 0 \\
6x(1 - x) & 0 < x \leq 1 \\
0 & x > 1
\end{array} \right. $

で与えられている.

(a)
分布関数$F(x)$を求めよ.
(b)
$P(X \leq 0.7)$, $P(0.2 < X \leq 0.8)$を求めよ.

5. 関数

$\displaystyle f(x) = \left\{\begin{array}{cl}
e^{-x} &, x \geq 0 \\
0 &, x \leq 0
\end{array} \right. $

が与えられている.

(a)
$f(x)$は確率密度関数を与えることを示せ.
(b)
$P(X \leq a) = 0.1$, $P( X > b) = 0.05$であるような$a,b$を求めよ.