事象と事象とが同じであるとき,と書く.事象が事象に含まれているとき,
と書く.
- 全事象 標本空間自身で表される事象
- 和事象 事象,の少なくとも一方が起こる事象.で表す.
- 積事象 事象,がともに起こる事象.で表す.
- 余事象 事象に対してが起こらない事象.
で表す.
- 空事象 決して起こらない事象.で表す.
事象の演算について,集合の場合と同様に次の関係式が成り立つ.
- 全事象を,空事象をとするとき,
- 任意の事象に対して
- 任意の事象に対して
- 任意の事象に対して(DeMorganの法則)
- 任意の事象,,に対して,
定理 2..1
[確率の公理(probability axiom)] 標本空間の任意の事象に対して,次の公理を満足する実数が定まるとき,を事象の確率といい,確率が考えられる事象を確率事象という.
- 事象の列
のいずれの2つも互いに排反であれば,
が成り立つ.この性質を確率に関する完全加法性という.
条件確率(conditional probability) 事象を固定して,事象の関数として
と定義すると,この関数は確率の公理を満たす.これを事象が起こったときの事象の条件付き確率(conditional probability)という.
事象
が互いに排反であり,
ならば,任意の事象に対して
と表せる.よって,
ここで,条件付き確率より,
となるので,
で求めることができる.これをBayesの定理という.
演習問題 2..2
1. = [さいころを4回投げて少なくとも1回6の目がでる]. = [2個のさいころを同時に24回投げて少なくとも1回2個とも6の目がでる] とするとき,
- (a)
- を求めよう.
- (b)
- を求めよう.
2. ある患者がある種の症状を訴えてきた.医師の経験から,同じ年齢層の人がその症状を訴えるとき,約5%の人がガンであることを知っている.一方,ある精密検査によって真のガン患者に対しては85%の陽性反応を示し,ガン患者でない人にも5%の陽性反応を示す.もしある患者がその精密検査の結果陽性反応を示した場合,その患者がガン患者である確率を求めよう.
3. 次の関係を示そう.
- (a)
-
- (b)
-
- (c)
- とが互いに排反ならば,