たぶん1階の微分方程式の中でもっとも簡単なのはがだけの関数のときでしょう.この場合,微分方程式は
解 与えられた微分方程式は と書き直せる.よって両辺をについて積分して一般解
解 この場合,微分方程式 をについて積分したのでは初期値問題は解けない.なぜならばの原始関数は初等関数ではない.そこで不定積分の代わりに定積分を用いる.
こういう解の表わし方に慣れてないかも知れませんが,これは立派な解です.なぜならばどんな特定な値に対しても は数値的に何桁までも正確に近似できるからです.
次にがの関数との関数の積で表わされる場合を考えます.
が
解 この微分方程式は形式的に
上の例題で は元の式の解ですが,求めた一般解の中にはをどのような値にとっても は含まれていません.このように微分方程式の解なのに,一般解の任意定数にどのような値を与えても得られない解を,その微分方程式の特異解(singular solution)といいます.他にも消えてしまった解があるかもしれませんが,これは変数分離形ではよくおきることです.そこで私たちは1.7節までの間,形式的に求めたものを解として扱います.
次の例題はNewtonの冷却の法則(Newton's law of cooling)を用います.実験より温度がとの2物体が向かい合っているとき,高温の物体から低温の物体へ時間に移る熱量は,との温度差が小さいとき近似的に比例して次の式で与えらることがわかっています.
解 Newtonの冷却の法則を使ってこの問題を定式化すると