前節で定数係数n階線形微分方程式
の特殊解を未定係数法により求めました.ただ残念なことにこの解法はが定数係数同次線形微分方程式の解の形をとっているときにしか使えませんでした.
ここでは階数低減法と同じように,どの線形微分方程式
にも用いることができる定数変化法(variation of parameter)とよばれている解法を学びます.
階数低減法では対応する同次線形微分方程式のひとつの解から
の一般解を求めました.もし同次線形微分方程式の基本解がわかっていたらどうでしょう.多分もっと簡単に一般解が求められてもよいでしょう.このことを2階の線形微分方程式を例にとって考えてみましょう.
とします.このときとはの基本解だとします.ここで
の特殊解を
とおきます.ただし
は後で定める未定関数です.2つの関数を決めなければならないので,2つの条件が必要となります.最初の条件は
が
の解であることです.2つめの条件は計算を簡単にするために設けた条件
です.
最初の条件を用いるため,
を求め
に代入すると
となります.ここで2つめの条件
を用いると
を得,これから
を求めると
となります.これらを
に代入すると
となるので整理すると
ここで,とはの解よりとの係数は0です.したがって
と
は連立方程式
を満たします.そこでCramerの公式を用いると
となります.ここで分母をよく見るととのWronskiの行列式です.また
は一次独立なので定理2.4よりWronskiの行列式は0になりません.よって
を求めることができ,これより
ひいては
を求めることができます.
例題 2..15
を求めよ.
解
補助方程式の特性方程式は
より特性根を得る.よって余関数は
で与えられる.次に特殊解を求める.定数変化法より
とおくと,
よって
となる.積分すると
定数無視
となるので,これより一般解
を得る.
なのでこの例題には未定係数法は使えませんでした.次に階線形微分方程式への定数変化法の用い方を考えてみます.
の余関数が
のとき,定数
を変数
で置き換えると特殊解
を得ます.ただし
は連立方程式
を満たします.
例題 2..16
を解け.
解
補助方程式
の特性方程式は
より特性根
を得る.よって余関数は
となる.
なので定数変化法を用いて特殊解を求める.
ただし
を満たすを見つける.Cramerの公式より
これより
となる.これらをに戻すと一般解
を得る.
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