定義 1..10
群
に属する元の個数を
の位数(order)といい,記号
で表す.
が無限群のときは
とする.
例題 1..9
次の交代群
の位数を求めよ.
解
次の対称群
の位数は,
個の元を
個の元に移す写像の個数であるから,順列の数である.したがって,
.次に,
は
の偶置換の集合であるから,
.
定義 1..11
単位元を
とする群
の元
に対して,
となるような最小の正の整数を
の位数という.そのような整数がないとき,
の位数は無限という.
の位数も記号
で表す.
例題 1..10
群
の元
の位数を求めよ.
解 群
は加法群である.したがって,単位元は
で,
となる最小の正の整数
を求めると,
となる.
問 1..29
の各元の位数を求めよ.
問 1..30
において,純虚数
の位数を求めよ.
定理 1..10
群
の元
からなる集合
は
の部分群になる.また,この群は
を含む
の最小の部分群である.
証明 まず,
が
の部分群であることを示す.
とおくと,
.ここで,
が
の形をしていることを示せばよい.
より,
.
次に,
が
を含む
の最小の部分群であることを示す.すでに,
は示したので,最小の部分群であることを示せばよい.最小であることを示すには,他に
を含む部分群があると仮定し,この群が
を含むことを示せばよい.そこで,
を
の元
を含む部分群とすると,
は部分群より全ての
に対して
となる.したがって,
.
定義 1..12
を
で生成された
の巡回部分群(cyclic subgroup)という.
定義 1..13
群
のすべての元が
のある元
の累乗になっているとき,
は
で生成された巡回群(cyclic group)であるといい,
をその生成元という.
例題 1..11
加法群
は1と
を生成元とする巡回群であることを示せ.
解
,
.
例題 1..12
は
の巡回部分群であることを示せ.
解
より,
.
問 1..31
巡回群は可換群であることを示せ.
定理 1..11
群
の単位元を
とし,
の元
の位数を
とする.このとき,非負整数について次が成り立つ.
(1)
mod
(2)
mod
証明 (1)
.ここで,
より,
.したがって,
.すなわち,
mod
(1)
mod
より,
. したがって,
定理 1..12
巡回群の部分群は巡回群である.
証明
,
とする.
であることを示す.
とすると
より,
.
は巡回群であるので,
とする.
を
の元とすると,
より,
.よって,ある整数
で
である.ここで,
とする.このとき,
であることを示す.
とすると,
より,
.したがって,
.ゆえに,
例題 1..13
加法群
と
について,その部分群を調べよ.
解
=2.6zw =1
(1)
とすると,
より,
は巡回群である.そこで,
とおくと,
となる.
(2)
とすると,
または
となり,
は真部分群を持たない.
(3)
とすると,
または
となり,
は真部分群を持たない.
=2.6zw =1
(4)
とすると,
,
,
となり,
の真部分群は
. これを次のように描く.
問 1..32
の部分群を調べよ.
問 1..33
を軍,
をその単位元とする.
が真部分集合をもたなければ,
は位数が素数
の巡回群であることを示せ.
例題 1..14
3次の2面体群
の部分群を調べよ.
解 それぞれの元の生成群を調べる.
問 1..34
4次の2面体群
の部分群を調べよ.