次の形をした
次正方行列を, 複素数
に対する
次の Jordanブロック (Jordan block)または Jordan細胞いう.

解
いくつかのJordanブロックを対角線に沿って並べて得られる行列
ベキ零行列の標準形
任意の
次正方行列
は適当な正則行列
をとり
をJordan行列にできるでしょうか.まず,
がベキ零行列の場合を考えてみましょう.
行列
をベキ零行列とすると, ベキ零行列の定義より
となる整数
が存在します.ここで
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を
に属する1次独立なベクトルで
個のベクトル
をかけると, 第2項以下の和は0となり
となりますが, 仮定
でなければなりません.以下同様にこの手続きを繰り返せば,
を得ます.
次に, 以下の条件を満たすベクトル
を考えます.
このとき次の
個のベクトルと(*)のベクトルを合わせたものも1次独立となります.
を考えます.
以下この議論を繰り返すことができ, 最終的に次のベクトル全体は
の基底になります.
-不変となります.そこで,
行列
に
を左からかけると
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は正則行列になり
の Jordan標準形(Jordan canonical form)いいます.ここまでをまとめると次の定理を得ます.
解
は
を満たすので, 指数2のベキ零行列である.
よって,
の固有値は0だけであり, 固有値0に対する広義固有空間
を考える.
である.
.そこで, 例えば,
をとると
,
は2次元であるから
と1次独立なベクトル
がとれる.このとき
は
の基底である.
Jordan標準形
証明
固有値
の広義固有空間
に対して, 部分空間の列
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は
の
-不変および
-不変な部分空間になる.よって, 定理5.3の議論を行列
と部分空間の列(5.2)に対して適用できる.
の基底
行列
の形になるものを選ぶことができる.ここで,
を右辺に移項すると
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は正則行列となり
をかけると, 求めるJordan行列
を得る.
も求めよう.
解
(1)
の固有値を求めると
の固有値は1だけである.よって,
はベキ零行列なるので, 例題5.2より,
(2)
の固有値を求めると
の固有値は1と2である.固有値1に対して
次に, 固有値2に対して
をとる.
のJordan標準形である.
1. 次のベキ零行列の標準形と変換行列
を求めよう.
を求めよう.