曲線
は空間を運動している点Pが描いた軌跡と考えることができます.ここで区間 は時間の区間と考え,
を時間 における物体の位置と考えます.すると
運動
に対して,
は運動の 速度ベクトル(velocity).また,
は 加速度ベクトル(acceleration) となり,それぞれ
で表わします.つまり,
すでに学んだように,接線単位ベクトルは
で表わせるので,速度ベクトルは
となります.よって,速度ベクトルは点の軌跡に対して接線方向のベクトルです.速度ベクトル の大きさ,
は弧の長さの変化率または速さで で表されます.つまり,
次に加速度についてもう少しよく理解するために,速度ベクトルを考えてみましょう.
の両辺を微分すると
ここで
より
これより
これが加速度の接線方向と法線方向への分解です.つまり
例題 2..12
のとき
を求めてみましょう.
解
より のとき
となるので
ここで
を求めるには色々な方法があります.ここでは計算が簡単な方法を考えます.
より
したがって,
他にも
よって
と求めることができます.
接線単位ベクトル ,主法線ベクトル
と直交するベクトル
を 従法線単位ベクトル(binormal unit vector) といいます.また,
を満たす をねじれ率(torsion)といいます.
ここで,これまでにでてきた3つの単位ベクトル
について調べてみましょう.図2.2参照.
図:
接触平面,法平面,展平面
|
と
で作る面を接触平面,
と
で作る面を法平面,と
で作る面を展平面といいます.
まず,
は互いに直交するベクトルです.また,これらのベクトルの間には Frenet-Serret (1819-1885) によって示された次の関係が成り立ちます.
証明
式2.1 より
また,ねじれ率の定義より
.次に.
を で微分すると
例題 2..13
曲線
について,次のものを求めよう. ただし, は任意の正の定数とする.
に対する弧長
接線単位ベクトル
主法線単位ベクトル
と 曲率
従法線単位ベクトル
とねじれ率
解
(a)
より
したがって,
(b)
(c)
より
また,
より
(d)
また,
より
演習問題2.2
- 1.
- 2点
を通る直線の方程式を求めよ.
- 2.
- 平面曲線
を描け.
- 3.
-
における
の接線の方程式を求めよ.
- 4.
-
の
の部分の長さを求めてみましょう..
- 5.
-
とする.
のとき,
を求めよ.
- 6.
-
とするとき,以下の問いに答えよ.ただし, は正の任意の定数とする.
- (a)
-
における弧の長さ
- (b)
- 接線単位ベクトル
- (c)
- 法線ベクトル
と曲率
- (d)
- 従法線ベクトル
とねじれ率
- 7.
- 弧長 をパラメターとして曲線
を表わせ.
- 8.
- 曲線 の曲率を求めよ.