すでに学んだように,次の形の偏微分方程式をそれぞれ二次元,三次元のLaplace方程式といいます.
これは非圧縮性流体の速度ポテンシャル,静電場のポテンシャル,熱伝導現象における定常温度分布などを表わす方程式です.級の関数で,Laplace方程式をみたすものを調和関数(harmonic function)といいます.
二次元のLaplace方程式の解は次の形のいずれかを取ることを学びましたが,次の形の関数の有限個の一次結合でLaplace方程式の境界値問題の解を表わすのが適当でないことがよくあります.
そんなときは,無限級数を用いて解を表わし,フーリエ級数の知識をもとに問題をときます.
例題 7..11
2次元Laplace方程式の境界値問題
を解け.
解
変数分離法と境界条件
よりLaplace方程式の解は
のどれかである.3番目の形は境界条件
をすべてのでみたし,また2番目の形も
のとき,つまり
のとき境界条件
をすべてのでみたす.よって重ね合わせの原理より,
を境界値問題の解として考える.最後に境界条件
より
この条件が満たされるためには,この級数がに収束するようにを選ばなければならない.ところが,これは本質的にフーリエ余弦級数である.よって
よって
となる.