最も一般的な2変数の2階線形偏微分方程式は次の形で与えられます.
線形偏微分方程式は比較的簡単な理論で説明でき,また多くの実用問題での数学的モデルはこの形で与えられるので,しっかり学んで下さい.
次の演算記号は偏微分方程式を扱う上で欠かせないものです.
Laplace or potential operator | |||
Heat または diffusion operator | |||
D'Alembert or wave operator |
定数係数の場合,2次曲線
解
一方, は
解
偏微分方程式の解全体の集合は解集合(solution set)といいます.ただ解集合は非常に大きな集合であったり,やっかいな集合であったりするので,私たちはすべての解が導けるような基本的な解の集合を考えます.このような解の集合を完全解(complete solution)または一般解(general solution)といいます.また特殊解は一般解から導けます.
簡単な偏微分方程式は次の例が示すように直接積分することにより解くことができます.
解
解
残念ながら一般に,偏微分方程式は上で行なったように直接積分して解けることはほとんどありません.そこで次の節では他の方法を考えてみます.その前に,もう少し偏微分方程式の解について考えます.
同次常微分方程式で解の一次結合が,また解であったように,同次偏微分方程式でも が,同次偏微分方程式の解ならば,その一次結合 もまた解になります.とくに,偏微分方程式では が収束し,この級数の項別微分が可能であれば, も同次偏微分方程式の解になります.これを重ね合わせの原理(principle of superposition)といいよく用います.