非同次方程式
の解法を考える前に,もう一度,同次方程式の解を整理してみます.
を次の正方行列とします.
が
の一次独立な解のとき,
を基本行列(fundamental matrix)といいます.これより,基本行列は次のような性質をもっていることが確かめられます.
つまり,同次方程式
の解は
で与えられるので,前の章で学んだ定数変化法を用いて,非同次方程式
の解を
と置いてみます.行列の導関数はそれぞれの成分の導関数で与えられるので,
が成り立ちます.そこで
を
に代入すると,
となります.ここで基本行列の性質2を用いると,
を得ます.よってCramerの公式より,
となり,積分して,一般解
を得ます.
例題 3..5
を解け.
解
より,固有値
.固有値に対する固有ベクトルは
より,
.したがって
は解である.また固有値に対する固有ベクトルは
より,
である.したがって,
も解である.これより基本行列
を得る.一般解を求めるには連立方程式
を解けばよい.つまり,
を解けばよいので,Cramerの公式を用いると,
となるので,積分して,
を得る.したがって一般解は
で与えられる.
例題3.3は演算子を用いることにより,求めることもできます.この方法は消去法または演算子法とよばれています.より
.
よって
また
と書き直せます.これより例題3.3で与えられた連立微分方程式
は演算子を用いることにより次のように書き直せます.
例題 3..6
次の微分方程式を消去法を用いて解け.
|
(3.1) |
解
ここで連立方程式を消去法で解くように,まず第1式にを掛け第2式に2を掛けて加えると
よって
|
(3.2) |
またはCramerの公式より
よって
この微分方程式の特性方程式は
.したがってとなり,の余関数は
で与えられる.次に特殊解を未定係数法を用いて求める.
より
これより
となる.これを(3.2)に代入すると
となり,を得る.これより
これを(3.1)の最初の式に代入すると
よって
確かに例題3.3と同じ結果を得ることができた.
例題 3..7
を解け.
解
とおくと,
.よって与えられた微分方程式は次のように書き直せる.
の特性方程式は
より,固有値
が求まる.次に固有ベクトルを求めるのだが,行列の次数が大きいので,コンピュータの力を借りる.ここではMathematicaを使用して,固有ベクトルを求めた.
に対応する固有ベクトルは順に
である.これより,
は
で与えられます.よって基本行列は
を得る.これより一般解は
で与えられる.これを
について解くと,
Subsections