高階同次線形微分方程式の解(Solutions of higher order linear differential equation)

微分して自分自身の定数倍になるのは指数関数$e^{mx}$以外にありません.もう少し正確にいうと $y^{\prime} = my$の完全解は $y = ce^{mx}$だということです.そこで

$\displaystyle L(y) = a_{n}y^{(n)} + a_{n-1}y^{(n-1)} + \cdots + a_{1}y^{\prime} + a_{0}y = 0 $

の解を捜すとき,その候補として $y = e^{mx}$をあげます.そのとき

$\displaystyle L(e^{mx}) = a_{n}m^{n}e^{mx} + a_{n-1}m^{n-1}e^{mx} + \cdots + a_{1}me^{mx} + a_{0}e^{mx} = 0 $

より$e^{mx}$が微分方程式$L(y) = 0$の解になるための必要十分条件は

$\displaystyle P(m) = a_{n}m^{n} + a_{n-1}m^{n-1} + \cdots + a_{1}m + a_{0} = 0 $

となります.この多項式$P(m)$特性多項式(characteristic polynomial)といい,$P(m) = 0$特性方程式(characteristic equation)といいます. $y = e^{mx}$の変換により$L(y) = 0$を解くという問題が,多項式$P(m) = 0$を解くという問題に簡素化されました.

例題 2..7  

$y^{\prime\prime} + 3y^{\prime} + 2y = 0$を解け.

特性方程式 $m^{2} + 3m + 2 = 0$の根は $m = -1, m = -2$.よって $e^{-x},e^{-2x}$は解である.またこの2つの関数は例題2.1より一次独立.したがって一般解は

$\displaystyle y = c_{1}e^{-x} + c_{2}e^{-2x} $

である. $ \blacksquare$

例題 2..8  

$y^{\prime\prime} -2y^{\prime} + y = 0$を解け.

特性方程式 $m^{2} -2m + 1 = 0$の根は$m = 1$.よって $y_{1} = e^{x}$は解である. この微分方程式は2階なので一般解を得るには一次独立な解がもうひとつ必要である. 演習問題2.2.2よりもうひとつの解$y_{2}$を求めると

$\displaystyle y_{2}$ $\displaystyle =$ $\displaystyle e^{x}\int\frac{e^{-\int-2dx}}{e^{2x}} dx$  
  $\displaystyle =$ $\displaystyle e^{x}\int\frac{e^{2x}}{e^{2x}} dx = xe^{x}$  

となる.よって一般解は

$\displaystyle y = c_{1}y_{1} + c_{2}y_{2} = c_{1}e^{x} + c_{2}xe^{x} $

である. $ \blacksquare$

この例題を一般化すると次の定理を得ます.

定理 2..7   特性方程式$P(m) = 0$の根$m = r$$k$重根ならば $x^{n}e^{rx},  (n = 0,1,\ldots,k-1)$は微分方程式$L(y) = 0$の解である.また$P(m) = 0$の根に対応している解の集合は解空間の基底をなす.


証明 $D = \frac{d}{dx}$とおく.すると

$\displaystyle L(y) = a_{n}y^{(n)} + a_{n-1}y^{(n-1)} + \cdots + a_{1}y^{\prime} + a_{0}y$

$\displaystyle L(D)y = (a_{n}D^{n} + a_{n-1}D^{n-1} + \cdots + a_{1}D + a_{0})y $

と表わせる.また $L(e^{mx}) = e^{mx}P(m)$より, $L(D)e^{mx} = e^{mx}P(m)$と表わせる.ここで $D^{i}(x^{n}e^{mx})$を計算すると,

$\displaystyle D^{i}(x^{n}e^{mx}) = e^{mx}(D + m)^{i}x^{n} $

となるので

$\displaystyle L(D)x^{n}e^{mx} = e^{mx}P(D + m)x^{n}. $

したがって$m = r$$k$重根のとき $L(D) = (D - r)^{k}$

$\displaystyle L(D)x^{n}e^{rx} = e^{rx}D^{k}x^{n} = 0  (n = 1,2,\ldots,k-1).  $

次に $x^{n}e^{rx}  (n = 0,1,\ldots,k-1)$が一次独立であることを示す.

$\displaystyle c_{1}e^{rx}+c_{2}xe^{rx} + \cdots + c_{k-1}x^{k-1}e^{rx} = 0 $

とおくと

$\displaystyle c_{1} + c_{2}x + c_{3}x^{2} + \cdots + c_{k-1}x^{k-1} = 0. $

よって $c_{1} = c_{2} = c_{3} = \cdots = c_{k-1} = 0 $ $ \blacksquare$

例題 2..9  

$4$階の線形微分方程式$L(y) = 0$の特性方程式$P(m) = 0$の根が $m = -3,-3,-3,-3$とする.このとき一般解を求めよ.

定理2.7より $e^{-3x},xe^{-3x},x^{2}e^{-3x},x^{3}e^{-3x}$$L(y) = 0$の一次独立な解である.よって一般解は

$\displaystyle y = c_{1}e^{-3x} + c_{2}xe^{-3x} + c_{3}x^{2}e^{-3x} + c_{4}x^{3}e^{-3x} $

となる. $ \blacksquare$

ここまでの例題の方程式の根はすべて実数でしたが,定理2.7は複素数の場合にも成り立ちます.ただ対応する解を複素指数関数を用いず,三角関数を用いて表わすことがよくあります.

$L(y)$の係数を実数とします.$a + bi$が対応する特性方程式$P(m) = 0$の特性根ならばその共役$a - bi$も特性根です.したがって

$\displaystyle y_{1} = e^{(a+bi)x}, y_{2} = e^{(a-bi)x} $

はともに$L(y) = 0$の解です.ここでEulerの公式(Euler's formula) $e^{i\theta} = \cos{\theta} + i\sin{\theta}$と解の線形性により
$\displaystyle y_{3}$ $\displaystyle =$ $\displaystyle \frac{y_{1} + y_{2}}{2} = e^{ax}\cos{bx},$  
$\displaystyle y_{4}$ $\displaystyle =$ $\displaystyle \frac{y_{1} - y_{2}}{2i} = e^{ax}\sin{bx}$  

$L(y) = 0$の解です.また $\{y_{3},y_{4}\}$が一次独立であることは簡単に示せるでしょう.よって,特性方程式の複素数根の$k$重根に対する基本解は,次のように表わせます.

$\displaystyle \{e^{ax}\cos{bx},e^{ax}\sin{bx},xe^{ax}\cos{bx},x^{ax}\sin{bx},\ldots,x^{k-1}e^{ax}\cos{bx},x^{k-1}e^{ax}\sin{bx}\}. $

例題 2..10  

$y^{\prime\prime} + 2y^{\prime} + 4y = 0$を解け.

特性方程式 $m^{2} + 2m + 4 = 0$の根は $m = -1\pm i \sqrt{3}$.よって

$\displaystyle \{e^{-x}\cos{\sqrt{3}x},e^{-x}\sin{\sqrt{3}x}\} $

は基本解である.これより一般解は

$\displaystyle y = c_{1}e^{-x}\cos{\sqrt{3}x} + c_{2}e^{-x}\sin{\sqrt{3}x} $

で与えられる.ちなみに

$\displaystyle \{e^{(-1+i\sqrt{3})x}, e^{(-1-i\sqrt{3})x} \} $

も基本解である. $ \blacksquare$

ここまでをまとめると,同次定数係数線形微分方程式の解はいつも

$\displaystyle \{x^{k}e^{ax},x^{k}e^{ax}\cos{bx},x^{k}e^{ax}\sin{bx}\} $

の一次結合で表わされるということです.

次の例題はNewtonの第2法則(Newton's second law)Hookeの法則(Hooke's Law)を用いて,一端を固定したバネにつり下げられた物体の運動の状態を調べるものです.そこで復習.

物体の質量を$m$,バネの弾力定数を$k$,ダッシュポットの摩擦による減衰力は物体の速度$dy/dt$に比例するとき,この物体に働いている力は

図: バネの振動
\includegraphics[width=5cm,scale=1.1]{DFQ/Fig1-3.eps}

1. $F_{1}$ = $mg$ 重力が物体に働く力
2. $F_{2}$ = $-ky - mg$ バネが元に戻ろうろとする力
3. $F_{3}$ = $- a \frac{dy}{dt}  (a > 0)$ ダッシュポットの摩擦による減衰力
4. $F_{4}$ = $F(t)$ 外部から物体に働いている力

で与えられます.また垂直方向の力の差はNewtonの第2法則より,質量$m$と加速度 $\frac{d^2 y}{dt^2}$の積で表わされます.よって運動方程式

$\displaystyle m\frac{d^2 y}{dt^2} = mg - ky - mg - a \frac{dy}{dt} + F(t). $

または

$\displaystyle m\frac{d^2 y}{dt^2} + a \frac{dy}{dt} + ky = F(t) $

が導けます.

例題 2..11  

上端を固定したばねの下端に質量$30g$のおもりをつるすと,ばねは$2cm$伸びて静止の状態になった.この状態からおもりを$5cm$引き下げて手放すとき,そのおもりの運動の状態を調べよ.ただし重力は $g = 980cm/sec^{2}$とし,空気抵抗はないものとする.

運動方程式は質量$m = 30$,バネ定数 $k = 30/2 = 15$より

$\displaystyle 30\frac{d^{2}y}{dt^2} + 15y = 0 $

となる.これは2階の線形なので,特性方程式を求めると

$\displaystyle m^2 + \frac{1}{2} = 0. $

よって, $m = \pm \frac{i}{\sqrt{2}}$. これより

$\displaystyle y = c_{1}\cos{\frac{t}{\sqrt{2}}} + c_{2}\sin{\frac{t}{\sqrt{2}}}. $

初期条件 $y(0) = 5,  y^{\prime}(0) = 0$より

$\displaystyle y = 5\cos{\frac{t}{\sqrt{2}}}.
\ensuremath{ \blacksquare}
$



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