が特異点のとき,
でともに解析的であるとき,
は確定特異点(regular singular point)といい,それ以外は不確定特異点(irregular singular point)といいます.
解
は特異点.次に
は不確定特異点.他の2つの特異点は確定特異点.
通常点のときと同様,確定特異点のまわりにも級数解が存在します.
|
定理 4..7 2階線形微分方程式
が確定特異点であるとき, のまわりで
|
この級数
はFrobenius級数(Frobinius series)とよばれ,この級数を解として
を求める方法をFrobenius法といいます.次の例題でFrobenius法の用い方を説明します.
のまわりでの級数解を求めよ.
解
は確定特異点.よって解を
とおく.これを微分することにより得られる
のベキを必ず一番小さいものにそろえると
のときでてきた方程式
を決定方程式(indicial equation)という.この方程式を解くと
.
これより2つの一次独立な級数解
の係数を0とおくと漸化式
とおくと
より
とおくと
より
のまわりでの級数解をひとつ求めよ.
解
より
は確定特異点.そこで
とおくと,
でそろえると,
となるので,
.また漸化式
より
ただし
上の例題の解答は完全でありません.一次独立な解が2つあるはずです.ではもうひとつの解はどうやったら求まるのでしょうか.すでに学びましたが,ひとつの解がわかっているときは,階数低減法を用いてもうひとつの解を求めることができます.ここでは証明しませんが,もうひとつの解は次のように表わされることがわかっています.
|
定理 4..8 2階線形微分方程式
が確定特異点で,決定方程式の解 が重解のとき,1次独立な2つの解
は次の形で与えられる.
|
のまわりでの級数解を求めよ.
解
上の例題で
はすでに求めたので,
を求める.定理より,
の形をした解を探す.計算の都合上
とおく.
に
を代入すると
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
||
![]() |
![]() |
||
![]() |
![]() |
||
![]() |
![]() |
の最初の何項かを表わすと
を用いると
. よって
のまわりでの級数解を求めよ.
解
より
は確定特異点.そこで
とおくと
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
でそろえると
![]() |
|||
![]() |
![]() |
より
.よって2つの解
の係数を0とおくことより,漸化式
のとき
を求めると
のとき
を求めると
と
はよく見ると
.つまり
.
そこでもうひとつ一次独立な解を探さなければならない.そのために次のような定理がある.
|
定理 4..9 2階線形微分方程式
が確定特異点で,決定方程式の解
の差が正の整数のとき,1次独立な2つの解
は次の形で与えられる.
|
これより上の例題のもうひとつの解は
を
に代入することにより求めることができる.