で定義された
に対し,
内の点
で
は
において 微分可能(differentiable)であるといい,この極限値を
で表わし
の
における 微分係数(coefficient of derivative)という.
内のすべての
で微分可能なとき,微分係数
は
における
の関数である.これを
の導関数といい,
などで表わす.
(1)
において
が微分可能ならば次のことが成り立つ
(i)
(ii)
(iii)
(2)
が
について微分可能,
が
について微分可能ならば,合成関数
は
について微分可能で,
が成り立つ.
(3)
が微分可能ならば,
は連続である.
領域
で定義された関数
が
内の点
で微分可能だとする.このとき,
を一定に保ちながら
を0に近づけると
を一定に保ちながら
を0に近づけると
領域
で定義された関数
が
内の点
で微分可能であるための必要十分条件は,
が点
で全微分可能で
がその定義域
のすべての点で微分可能なとき,
は
で 正則(analytic)であるという.
平面全体
で正則な関数を 整関数という.
注1. 点
で正則というときは,
だけでなくその近傍を含めて正則なことを意味する.
注2.
が正則ならば,(微分可能であるから)連続である.
が
で正則のとき,
の第2次偏導関数も連続とすれば,
は 調和関数(harmonic function)である.すなわち Laplaceの微分方程式を満たす.
注
が連続な第2次偏導関数をもつことを仮定したが,正則関数は何回でも微分可能なことが別に証明されているから,この仮定はいらない.
領域
で
がCauchy-Riemannの方程式を満たし,かつ連続な偏導関数をもてば,
は
で正則である.
注 定理3.4の十分条件を強くしたもので,正則性の判定に有効である.
では
が多項式で,その書く偏導関数も連続であり,
であるから,定理3.6より
は全平面で正則である.
では,
で
と
とが等しくないから,Cauchy-Riemannの方程式(正則の必要条件)が成り立たない.よって,
は正則ではない.
が正則で
なら,
は定数であることを証明せよ.
解
が正則であるから定理3.4によって
であるから,
.ゆえに
はいずれも定数.したがって,
も定数である.
は調和関数であることを示し,これを実部にもつ正則関数
を求めよ.
解 (1)
より
.ゆえに
は調和関数.次に,
は正則であるからCauchy-Riemannの関係式から
について積分すると
は
だけの関数である.これをあとの式に代入すると
.
よって
.これより
.したがって
(2)
より,
,
,
,
.これより,
.よって,
は調和関数.次に,
は正則であるからCauchy-Riemannの関係式から
について積分すると
は
だけの関数である.これをあとの式に代入すると
.
よって
.これより
.したがって
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
||
![]() |
![]() |
2. 次の関数を微分せよ.
3.
とするとき,次の関数の正則性を調べ,正則ならばその導関数を求めよ.