まずは整級数の性質に関する基本的な定理について考えてみましょう. 各項が関数であるような級数を関数項級数(series of functions)といいます.
を区間で定義された関数の列とします.この関数列 より
ここで とおくと,無限級数の一様収束は次のように表わせます.つまり区間の任意のに対して
定理 4..1 (Weierstrassの判定法) ある区間の任意のに対して
であるような実数列が存在するとき, は区間で一様収束かつ絶対収束である. |
証明
無限級数が一様収束するとき,級数は有限級数のもっている多くの性質を継承します.
定理 4..2 (無限級数の連続性) が区間で連続で
が区間で一様収束ならば,
も区間で連続である.
|
定理 4..3 (項別積分の定理) が区間で連続で
がで一様収束ならば,
|
定理 4..4 (項別微分の定理) が区間で-級で,
が一様収束するならば
|
無限級数
において,とくに
のときを整級数(power series)といいます.たとえば
のTaylor級数
さて
はのどんな値に対して収束するのでしょうか.
とおき,D'Alembertの判定法を用いると
解
次に整級数の基本性質をあげておきます.
定理 4..5 (整級数の基本性質)
の収束半径をとし,
とおくと,次のからが成り立つ.
任意の に対し, はで一様収束する. は で 級である. は で連続である. は で項別微分可能であって,次の式が成り立つ.
|
関数が正の収束半径をもつ整級数 で表わされるとき,は点で解析的(analytic)であるといいます.また,開区間の各点で解析的な関数は区間で解析的であるといいます.